不妊症

婦人科専門鍼灸院の不妊治療

不妊症は、結婚後正常な夫婦生活を続けたのに2年以上経過しても子宝に恵まれないことをいいます。

一般に結婚を考える年齢で、避妊せず、通常の夫婦生活を送っていた場合の妊娠率は、半年で7割、1年で9割、2年で10割といわれています。
日本産婦人科学会

  • 不妊症かも
  • 治療を始めるタイミングがわからない
  • 体外受精しているが妊娠に至らない

とお悩みの方は、半年、1年や2年に関わらず、妊娠しやすい体をつくることを始めましょう。

令和3年1月1日から変更された助成制度

  • 所得制限がなくなりました
  • 助成金が1回30万円になりました
  • 助成回数が1子ごとに6回までになりました

◆拡充内容詳細

治療終了日
/ 内容
令和2年12月31日まで 令和3年1月1日以降
所得制限 730万円未満
(夫婦合算の所得)
撤廃
助成額 1回15万円
(初回のみ30万円)
1回30万円
助成回数 生涯で通算6回まで(※1) 1子ごとに6回まで(※1)
対象年齢 妻の年齢が43歳未満 妻の年齢が43歳未満

※1
40歳以上43歳未満は3回まで
※2
対象者については、原則、法律婚の夫婦を対象とするが、生まれてくる子の福祉に配慮しながら、事実関係にある者も対象とする。
※3
対象治療法は体外受精及び顕微授精

厚生労働省:不妊治療に関する取組

不妊症の原因

不妊症の原因としては、おおまかに

  • 排卵時のホルモンバランスの崩れによる排卵障害
  • 子宮内膜症や性感染症などが原因による卵管の詰まり
  • 子宮に異常があるために受精卵が着床できない

といったからだの原因があげられます。
また、不妊が増加する原因としては

  • 晩婚化
  • 社会進出によるライフスタイルの変化
  • 不妊症に対する誤った知識
  • 必要以上の治療による不妊症

西洋医学では、この過程のどこかに不妊症の原因があると考えそれに対する治療を行おこなっていきます。排卵時のホルモンのバランスが崩れたために起こる排卵障害、子宮内膜症や性感染症などの原因による卵管のつまり、子宮に何らかの異常があるために受精卵が着床できないなどの原因がある場合は『対症療法』、特別な原因が見つからなければ、『ステップアップ治療』をおこないます。

ステップアップ治療は、タイミング療法から始まります。原因はわからないけれども、排卵に問題がある場合には排卵誘発剤を使い、ホルモンの分泌が悪ければホルモン剤によって調節します。それでも効果が得られない場合、人工授精体外受精へと進みます。

最近では、ARTの名称が普及してきています。ARTとは、assisted reproductive technologyの略で体外受精(IVF)顕微授精(ICSI)のように体外で生殖医療をする技術のことです。 生殖医療技術、高度生殖医療、生殖補助医療などと呼ばれることもあります。

一般的に妊娠の過程では

  1. 1 排卵

  2. 2 受精

  3. 3 子宮内へ移動

  4. 4 着床

となりますが
高度生殖医療では

  1. 1 採卵

  2. 2 受精

  3. 3 胚培養

  4. 4 移植

という流れになります

不妊症の治療目標にする重要なポイント

1.理想的な2層性のグラフに近づける

2層性のグラフとは、BBTと呼ばれている基礎体温表のことをさします。基礎体温を測ることは、不妊治療をおこなう上では重要なことです。

基礎体温表は、生理周期と女性ホルモンのバランスが整っているのかを教えてくれるもので、わかりやすく言えば、妊娠しやすいかどうかを判断する目安になります。

生理周期は、25~38日くらいで、理想は28日。この周期の中で、体温は低温期と高温期とにわけられます。
低温期とは、子宮内膜の粘膜層を体外に排出する月経期(生理)と、新しい粘膜層を再生させる卵胞期があり、36.4℃以下が望ましいです。

また、低温期に成熟した卵胞は、排卵期に卵子を排卵して、黄体へと変化します。この黄体からは、黄体ホルモンであるプロゲステロンが分泌され、その作用で体温を急激に上昇させ、排卵期を経て高温期(黄体期)へ移行させてくれます。

高温期へ移行する時の排卵期は1日低温期と高温期の差は0.3℃以上高温期は36.7℃以上が理想的です。

黄体の寿命は比較的正確なため、高温期は通常14日間続きます。
期間は正常ですが、高温期の時期に体温が低い場合は、卵を育てにくい環境にあり、高温期にしっかり体温をあげる治療をしていかなければなりません。
そして、排卵、着床、妊娠が順調にいくと、次の月経はなく、高温期が100日ほど続きます。

妊娠判定が出るのは、生理予定日だった日から1週間後です。

鍼灸治療では、生理周期を安定させ、低温期、排卵期、高温期それぞれの時期に合わせた治療をおこない、メリハリのある温度差0.3℃以上、排卵後1日で高温期に移行、しっかりとした2層性の基礎体温にしていきます。

ホルモン剤等の薬では、強制的にホルモンバランスを整え妊娠させようとするため、副作用も大きく、治療と反して基礎体温が乱れてきたり、タイミング療法でも、AIH(人工授精)、IVF(体外受精)でも失敗ばかりが続いてしまいます。その点、当院の鍼灸治療は、女性の体が妊娠しやすい体質に向かうよう自然に促してあげることが可能となります。

2.子宮内膜を厚くする

妊娠するために重要なこと、その一つに子宮内膜の厚さがあげられます。子宮内膜とは、受精卵が着床する場所であり、子宮内膜が薄い状態では、着床しにくくなるからです。

妊娠するために必要となる理想的な子宮内膜の厚さは8mm以上です。

8mm以上ないと妊娠しないというわけではありませんが、アメリカの産婦人科医で構成される研究では、子宮内膜の厚さが8mmで妊娠率53.1%、16mmでは67.6%という結果が報告されています。

不妊治療をおこなっている人の子宮内膜は、比較的薄く、着床しにくい傾向にあります。

当院では、一般的な不妊症に対する鍼灸治療でおこなう骨盤内の血流循環を改善させる治療だけではなく、意図的に卵胞ホルモンであるエストロゲンの分泌を整え、子宮内膜を厚くさせ着床しやすい状態に促していきます。

3.着床~妊娠判定まで高温を維持させる

前述した子宮内膜が薄い人は、着床しにくいだけでなく妊娠を維持することも難しくなってきます。
前述の研究結果では、内膜の厚さが8mmある人でも53.1%しか出産にいたらないわけですから、妊娠判定が出たとしても安心できません。

不妊治療をおこなっている人の中でも、着床しても妊娠に至らない、もしくは妊娠判定が出た後でも流産してしまういわゆる不育症になる人も少なくありません。

当院の鍼灸治療では、この点も重要視し、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌を促してあげることで子宮内膜の厚さと高温を維持できるように働きかけ、着床、妊娠、出産までサポートしていきます。
当院で不妊治療をおこなう患者さんの多くは、すでに病院での不妊治療を開始している方です。
不妊治療を開始する時期がわからず病院へ行くのを悩んでしまう方でも現在の状態を把握してもらい、今の状態に合わせた治療は可能です。

このように、患者さんの状態によって私たちがおこなう鍼灸治療は、治療内容が変わりますが、着床~妊娠判定へと確実に進んでもらうため、タイミング療法をおこなっている人では、タイミングを計った翌日、人工授精や体外受精をおこなう人では、実施したその日に鍼灸治療をおこなうのが望ましく、その後も高体温が維持できるように体調と基礎体温を確認しながら適切な鍼灸治療をおこないます。

また、病院での治療を併用している患者さんには、私たちの治療方針、意見を反映させることは難しいかもしれませんが、人工受精、体外受精をおこなうタイミングは、体調や基礎体温、子宮内膜の厚さなどを確認して指導します。なぜなら、ただやみくもに人工受精や体外受精を繰り返しても、妊娠するための体ができていないと、失敗が続くだけでなく、子宮を痛めてしまい、余計に妊娠しにくい体になってしまうからです。それでも人工受精や体外受精をおこなう場合は、事前に今の状態をご説明したうえで、最大限、妊娠するための治療をさせていただきます。

4.出産までに直面する様々な症状に対応する

不妊治療は、妊娠がゴールではありません。言葉では、妊娠が目的ですが、本来の目的は子供が欲しいから治療をおこなうのであって、新しい家族に出会うため、無事に出産しなければ目的は叶いません。不妊治療は、そのための過程の一つです。

出産までの道のりには、悪阻(つわり)があったり、腰が痛くなったり、逆子や血圧の上昇、尿蛋白が出たり、切迫流産になるケースもあるので、その都度対応していかなければなりません。時には帯状疱疹や難聴にかかり、妊娠中であるために必要なステロイドが使えない状況に陥ることもあります。しかし、当院では、そのような症状でも鍼灸治療で対応できますし、病院での治療が必要な時はこちらからもすぐに指導します。

不妊治療の流れ

  1. 1.問診・脈診・腹診

    不妊治療の問診

    当院では、まず患者さんから今までの治療状況、生理周期等、関係することをうかがって、原因を突き止めます。

    女性の体はデリケートです。どの年代においても女性ホルモンのバランスが関係するため、確認する「問診」をとても大切に考えています。

    問診後は、実際にどのような状態なのか、脈を診る等をおこなうことで生理周期の変化、乱れも読み取ることができるため確認します。

  2. 2.鍼灸治療

    不妊治療

    問診と検査等の後は、ベッドに横になってリラックスしていただいた状態で鍼灸治療をおこないます。

    鍼は髪の毛と同じくらいの太さ0.1mmほど、お灸は、火が直接肌に触れないものを使用していますので、火傷やお灸の痕が残る心配を極力減らします。

    お灸にはリラックス効果だけでなく、血行の促進や抵抗力を高めて体を強くしてくれるといった様々な作用があります。また、鍼治療の後にお灸をすることで、治療効果が持続する作用もあります。

    不妊治療の場合、生理周期の中で、治療方法が変化します。それは、月経が始まる低温期、排卵期、排卵後の高温期で女性ホルモンの優先順位が変わるからです。

    また、基礎体温のグラフが

    妊娠するための基礎体温
    不妊症の基礎体温:高温期になるのに時間がかかる
    不妊症の基礎体温:高温期があがらない
    不妊症の基礎体温:全体的にバラバラ

    ・低温のまま上がらない(無排卵)
    ・高温期が短い(黄体機能不全)
    ・高温期の体温が低い
    ・全体的にバラバラ(無排卵)
    ・全体的に低い・高い
    ・排卵から高温期になるまで時間がかかる
    ・高温期の途中で体温が下がったりする

    など理想的な基礎体温のグラフではない、すなわちホルモンバランスが乱れている場合は、その状態に合わせて治療法を選定し、理想的な状態になるよう整えていきます。また、肩こり、腰痛、睡眠障害など関係ないと思われる諸症状も同時に治療することで自然治癒力も向上し、ホルモンバランス、自律神経のバランスも整いやすくなります。

    同時に、病院での治療を併用している患者さんには、人工授精や移植をおこなった日は、着床、妊娠率を上げるために治療もおこないます。不妊治療をおこなっている患者さんの状態は、不育の状態にもある場合が多く、着床後妊娠判定に至らなかったり、切迫流産、逆子、出産予定日になっても陣痛が来ない場合もありますので、当院では出産、産後までしっかりとケアする体制を整えています。

不妊治療のツボ

三陰交

不妊症治療に使用する代表的なツボとして「三陰交(さんいんこう)」があります。

人の体にはいくつかの経絡(気の流れ)というものがあるのですが、三陰交は子宮の機能に関係する腎経(じんけい)・肝経(かんけい)・脾経(ひけい)の三つの経絡が交わるところであり、これらの機能を整える重要なツボなのです。

場所は「内くるぶしから指4本分上、スネの内側で強く押さえると少し痛みを感じる部分」です。女性ホルモンを調整する作用のある三陰交は、非常に繊細なツボです。素人がむやみに刺激することは避け、必ず担当の鍼灸師に相談してください。

心身ともに健康でいることが妊娠への最大の近道

『不妊治療=辛く苦しいもの』ではなく、赤ちゃんを待つ健やかな時間になるお手伝い

医療技術の進歩により、不妊に悩む多くの夫婦が我が子を抱けるようになりました。しかし、病院でどんなに素晴らしい治療をしても100%妊娠するとは限りません。妊娠・出産の長い過程においては、病院での治療はあくまで手助けです。

卵子や精子を作り、出会った受精卵を出産まで育むのはお父さんとお母さんの身体です。病院での治療は膨大なお金や労力を費やすため、どうしても生活の中心がそちらに移行してしまい、辛く苦しい日々を過ごしている方も多いと思います。しかし、本当の中心になるのはお二人の身体です。最も大切なことは夫婦お二人が心身ともに健康であることなのです。

鍼灸治療は、妊娠しやすい体作りだけでなく不妊治療によるストレス・不安感なども対応できます。
病院での不妊治療を併用した場合、妊娠、出産率は格段に向上します。

悩んでいるよりも、一度ご相談ください。