逆流性食道炎

逆流性食道炎ってどんな病気

逆流性食道炎とは、胃の内容物、主に胃酸が食道に逆流し食道に炎症を起こす疾患です。胃食道逆流症の一つであり、現在では、未治療の逆流性食道炎は狭心症よりもQOLを損なう疾患とされており、胃酸関連疾患の中で非常に重要な疾患として位置づけられています。

食べすぎや過度の飲酒などによって、健康な人でも腹圧がかかることで胃酸の逆流がみられることがありますが、短時間であれば問題になることはありません。

しかし逆流の時間が長くなると、食道の粘膜は胃酸に弱いため、食道に炎症を起こすようになります。

逆流性食道炎は、特に成長期である中高生、内臓機能の低下している高齢者に多いです。

しっかり治療をしないと症状がずっと続き、生活の質(QOL)に支障をきたします。胸やお腹の不調を感じたら早期に適切な治療を受けることをおすすめします。

発症のメカニズム

食道と胃の間には、下部食道括約筋という筋肉があります。この筋肉があることで、胃の内容物が食道に逆流しないように胃の入り口を閉めて逆流を防止しています。

この下部食道括約筋が何らかの原因で機能が低下してしまうことで、胃酸などが逆流しやすくなります。

その他、食道裂孔ヘルニア、機能性ディスペプシアとの関連している場合があります。

逆流性食道炎の原因

食べすぎ、早食い
食べてすぐ寝る習慣
アルコール、炭酸飲料の多飲
脂っこい食事を好む
喫煙
肥満
畑仕事・PC作業などで前かがみの姿勢を長時間とる

逆流性食道炎の症状

胸やけ
酸っぱいものがこみあげてくる(呑酸)
食後に胸やみぞおちが痛む
嚥下障害
のどの違和感、声のかすれ
腹部膨満感
げっぷ、嘔吐

東洋医学で考える逆流性食道炎の治療

東洋医学では、肝が胃腸のサポートを行っている機能に疏泄(そせつ)というものがあります。肝はストレスの大きな負担が加わると、正常な気の流れを停滞させ肝気鬱結となり、胃腸の働きをうまく調節できなくなります。

また、もともと胃腸が虚弱なタイプですと内臓が冷え、胃の中の余分な水分が胃液となって逆流します。

１．脾胃気虚　体質

もともと胃腸が弱く、わずかでも脂っこいものを食べると悪化します。

随伴症状：
食欲不振、お腹の張り、腹痛、倦怠感、疲れやすい、むくみ、めまいなど。

過労や胃腸虚弱により、消化をうまくおこなえなくなります。

２．肝気犯胃　体質

ストレスなどの精神刺激により悪化します。

随伴症状：
胃痛、腹痛、食欲不振、お腹や胸の張り、イライラ、憂うつ感、ゲップが多いなど。

自律神経がストレスにより乱れると、食べものを下へ降ろす胃の働きが弱ります。

３．胃熱　体質

辛いものや味の濃いもの、脂っこいものを食べることなどで胃に熱がこもり悪化する。

随伴症状：
胸の灼熱感、口内炎、口の渇き、過食、口臭、便秘、多汗、のぼせなど。

もともと暑がりだったり、炎症性疾患、飲食の不摂生により熱が上昇して胸やけや灼熱感などが生じます。

４．食滞　体質

消化不良により起きるもので、食べすぎると悪化しやすいです。

随伴症状：
胸苦しく胃がつかえる、腹痛、腹鳴、食欲不振、酸腐臭のゲップなど。

暴飲暴食や、脂っこいものや甘いもの、味の濃いものの食べすぎで未消化物が停滞し、胸やけや吐き気、ゲップなどが生じます。

５．胃寒　体質

生ものや冷たいものの飲食などにより胃が冷え悪化します。

随伴症状：
胃部の冷え、胃痛、腹痛、水っぽい大量の唾液、下痢など。

飲食の不摂生や身体を冷やすことで消化機能が低下しますが、温めると一時的に良くなる傾向があります。

逆流性食道炎に対する鍼灸治療

当院では、治療の前に診察をします。これは、当たり前のことかもしれませんが、当院では逆流性食道炎患者さん一人ひとりの状態を細かく把握して、患者さんに合わせたより良い治療をすすめたいからです。

診察とは、今までの治療経験や症状経過をお聞きする問診だけでなく、現在のからだの状態を正確に把握するため、そしてもともとお持ちの体質との因果関係を確認するためでもあります。

確認内容としては、お腹の状態を触って冷えや硬さがあるか、脈をみて腸に関係する自律神経が乱れていないかなどを確認します。その他顔色や舌の状態で判断できる内容もあります。

診察が終わった後は、患者さんにご自身の状態を把握していただき、これからの治療方針をご説明して治療をしていきます。

逆流性食道炎に効く鍼灸治療の効果まとめ

自律神経の働きを調節する

ストレスや自律神経の乱れと関連があるため、鍼灸治療によって自律神経を整え、胃酸の分泌や胃の蠕動運動を正常化する効果が期待できます。

胃酸分泌を抑える

消化器系のツボを刺激することによって、胃酸の過剰分泌を抑える作用があります。

食道括約筋の機能改善をする

食道括約筋のゆるみが原因であるため、ツボ刺激によって筋肉の緊張を改善し逆流を抑えます。